タオベーシック5日間の記録〜京都の山奥で炙り出されたもの〜

「欲しいものが買えなかった」
それだけのことだった。

京都府笠置(かさぎ)。
山に囲まれた宿泊施設で、他の参加者たちが、氣を整えるためのあるグッズを購入していた。

私は手が止まった。

それを買えば、今月の医療保険が全額自己負担になる。
年金も、後回しになる。

「しょうがない」

そう呟いた瞬間、胸の奥で何かが鈍く疼いた。


タオベーシックとは何か

参加したのは、一般社団法人タオイストジャパン・チネイザンプロジェクト代表のタリカが主宰する「タオベーシック」。
4泊5日の合宿プログラムだ。

合宿は毎朝、6時半からの「OSHOダイナミック瞑想で始まる。

爆音の中で絶叫し、ジャンプし、全身で感情を放出する。
その後は、自然の中でタオイン(気功の基本トレーニング) を繰り返しながら、呼吸と身体感覚に意識を向ける。

寝食を他者と共にする時間が、5日間続く。

静かな環境で、身体を動かし、心の内側に向き合う。
派手な「変容体験」を約束するものではない。
むしろ逆だ。

日常で見ないようにしていたものが、静かに浮かんでくる場所だった。


合宿4日目の夜、肝臓の記憶

六字訣(ろくじけつ) というタオ(気功)の瞑想法がある。
六つの音と呼吸を使って、臓器ごとに溜まったエネルギーを解放していく実践だ。

東洋医学では、肝臓は「ストレス」「嫉妬」「羨望」と対応する臓器とされている。

その夜、肝臓に意識を向けたとき、別の記憶が浮かんだ。
かつて、日常的に暴力を振るっていた頃の自分。
父との関係の中で、健全な男性性の使い方を学ぶ機会がなかった。

私には元々、何かを実行したり、決断する力(男性性)は備わっていた。
だが、その使い方を知らなかった。
「陰湿さ」というネガティブなエネルギーが、私の中の歪んだ男性性結びついたとき、暴力となって表出していた。

そして今、暴力を手放した代わりに私は——力ごと、つまり、自身の男性性そのものを封じ込めた。

男性性を発揮しない。
可能性に蓋をする。
挑む前に、静かに降りる。

それはずっと「穏やかさ」だと思っていた。
でも、ただの諦めだったのかもしれない。


「惨めさ」と「劣等感」は、封印のサインだった

氣を整えるグッズを買えなかったあの瞬間。
疼いたのは「お金がない惨めさ」だけではなかった。

欲しいものを迷わず手に入れられない。
『タイミー』という日雇いアプリで日々を食いつなぐ生活。
節約が前提の日常。

それ自体より、「自分には何かを起こす力がない」という諦めが、デフォルトになっていたことに気づいた。

劣等感。
引け目。
自己価値感のなさ。

これらは外から押しつけられたものではなく、ずっと私の内側で声を上げ続けていたサインだったのかもしれない。

サガール、そろそろ俺のここを見てくれよ」という。


タロットも、同じ場所を照らす

私がタロットセッションで扱うのも、こういう場所だ。

言葉にならない感覚。
見ないようにしてきた感情。
「どうせ無理」という口癖の下にあるもの。

特に恋愛で「頑張りすぎてしまう」人の多くは、力を正しく使えない男性性の問題を抱えていることが多い。
強がるか、引いてしまうか。
無意識に、どちらかに偏ってしまう。

タロットは、そこを言葉にするための道具である。


Taoの道は長い

六字訣、タオイン、鉄布衫功(てっぷざんこう)。

派手な変化はない。
日々、少しずつ。揺るがない自己を育てるエクササイズは続く。

ようやく自分が、どこに立っているかを見た気がする。

私は今、ここから始めていく。


恋愛でがんばり過ぎてしまう40代以上へ
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